一口食べると
福が舞い降りる。
「おたふく」のふくよかな顔形に似ていることからこの名が付いたと言われているお多福豆。津志田商店のお多福豆は、皮に包まれた見た目からは想像できない、とろける様な食感。一口食べたらパッケージのあの「おたふく」さんと同じ、自然にふんわりとした幸せ顔になってしまうかも。日常にちょっとした “幸福”を呼ぶ、そんなお多福豆を一筋に作り続けるのが「津志田商店」。
shinise no ajimeguri history.2 kumamoto tushida-syouten
大正元年(1912年)創業。
4代が『見て盗め』で
味を継承
大正元年創業の津志田商店は、熊本の地で100年以上続く老舗。現在は4代目、津志田竜八(つしだたつや)さんがその暖簾を守っている。すべて手作業という「お多福豆」の作り方は、驚くことに指南書やデータなどは一切なし。先代から受け継がれている『見て盗め』の手法で、2代目、3代目、4代目と「お多福豆」を変わらない味で継承しているとのこと。4代目の竜八さんは、伴侶に選んだ奥様の優子さんの実家が津志田商店だったというのがこの道に入ったきっかけだそうだ。もともと豆好きだったというからすごい巡り合わせだ。
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原料は、豆・水・砂糖のみ。
100年以上、無添加を貫く
機械は、使わない。
五感を研ぎ澄ませ、生み出す
▼次の工程が最も重要▼
秘伝の煮汁と炊く
歴代職人の想いが融合
どこにもない、
津志田商店の味となる
創業以来、継ぎ足しながら守られてきた煮汁と新しい煮汁を融合させる。歴代の職人の想いが4代目の想いと重なる瞬間。まるで儀式のようだ。1世紀という時間を経ても変わらない、「津志田商店」の味の秘密はここにあるのかもしれない。
4代目の竜八さんは日々、五感を研ぎ澄ませ自問自答して豆を炊くことに没頭してきた。豆を煮るには、気温、湿度、気圧が大きく影響するそう。「天気や豆の質に左右されずに、安定した豆を煮ることができるようになってきたと感じてきたのが豆を煮始めて20年くらいかな」と話す津志田さん。じっと釜の豆を見守る目には、経験を重ねて得た職人にしか見えない何かが見えているような気がした。
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庶民の味であり続けたい
「美味しかった!」
また来ていただけるように
「お花見のために購入された方が、何時間も経たないうちにまたうちに買いに来てくれたことがあります。『美味しくてあっという間になくなっちゃった』と言ってね」竜八さんが嬉しそうに語ってくれた。いつでも買える庶民の味であり続けたいという想いがあるからだ。
実は、以前は国産にこだわったそら豆を使っていたが、価格が高騰。その時、津志田さんはお多福豆の値段を上げるより、こだわりを捨てることを選択した。世界中を探し、無農薬で作っているボリビアのそら豆に切り替えた。高級品ではなく「庶民の味であること」を守ったのだ。
ファンができる秘密を聞いてみた。「人の都合に合わせるのではなく、豆に合わせて炊くことが大事かな」と答える竜八さん。100年前と比べれば、化学も機械も発達し、効率の良い機械を導入したり、食品添加物を使って長期保存ができる現代では大量生産で全国へ広げることも夢ではない。しかし、津志田商店はしない。人の都合ではなく、豆に合わせて五感を研ぎ澄ませて作るからこそ、先代達が守り続けてきた「庶民の味」が受け継がれ、その姿勢とともに多くの人に愛されているのだ。
添加物を一切入れていない、100年前からの伝統製法でつくられる逸品です。お子様からご年配の方まで味わえるやさしいお多福豆です。
津志田商店
住所:熊本市西区小島8-1-7
tel.096-212-2023